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7社合同で幹線中継輸送サービス「SLOC」の実証開始

2023年7月10日(月)


スワップボディコンテナの交換の様子
株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市、代表取締役社長:林 新之助、 以下、デンソー)、アスクル株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:吉岡 晃)、エレコム株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:柴田 幸生)、タカラスタンダード株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:渡辺 岳夫)、三井倉庫ロジスティクス株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:鳥井 宏)、安田運輸株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:井上 薫)、大和ハウス工業株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:芳井 敬一)は、荷物を積載する荷台(コンテナ)部分を脱着できるスワップボディコンテナを用いた幹線中継輸送サービス「SLOC(Shuttle Line Of Communication)」の実証実験を年7月10日(月)から14日(金)まで、静岡県浜松市と埼玉県坂戸市を中継地点とし、関東・関西間にて実施する。
なお、本実証では、ドライバーが行う輸送作業と荷物の積み降ろしなどの荷役作業を切り分け、荷主が荷役作業を行う「荷役分離」や、異業種による複数の荷物を同じコンテナに積載する「混載輸送」も行う。

■背景となる物流業界の課題
 物流業界では、ドライバーの長時間労働が深刻化しており、荷物の積み降ろしのために待機する「荷待ち」時間も要因のひとつといわれている。さらに、長距離ドライバーの場合は長時間の運転に加え宿泊が伴うため、長い拘束時間が問題となっている。またドライバーは運転だけでなく、荷役作業を担うため、身体への負担が大きいことも問題となっている。こういった拘束時間の長さや身体的負担の大きさは、ドライバー不足にもつながっている。

 このような状況を背景に、2024年4月から働き方改革関連法により、自動車の運転業務について時間外労働の上限規制が適用される。これによりドライバーの労働環境が改善する一方で、ドライバー不足のほか、今後国内でトラック輸送している荷物の約1/4を運ぶことができなくなる*1と考えられており、「2024年問題」と呼ばれている。
 こうした問題の解決に、幹線中継輸送が注目されている。幹線中継輸送は、一つの行程に中継地点を設け、複数のドライバーで交代しながら輸送する仕組みである。ドライバー一人当たりの拘束時間が短縮されるとともに、荷主は労働環境を守りつつ、荷物を目的地に運ぶことができると期待されている。

■SLOCとは
 SLOCは、荷物を積載する荷台(コンテナ)部分が脱着できるスワップボディコンテナ車両を活用するとともに、QRコード*2を使ったコンテナ管理システムを導入することで、複数の荷主と複数の運送業者によって荷物を運ぶ新しい輸送形態。
 スワップボディコンテナ車両を用いることで、中継地点でコンテナを分離し、指定されたコンテナに載せ替えて目的地に輸送することができる。トラックの乗り換えや荷物の積み降ろしがないため、トラック同士が待ち合わせる必要がなく、柔軟な運行スケジュールを立案でき、長距離運行を日帰り運行にすることが可能となる。また、コンテナを分離できるという特長を活かし、荷主が荷物の積み降ろしを行う「荷役分離」や、異なる荷主が同じコンテナに荷物を積載する「混載輸送」も容易になる。
 日帰り運行や荷役分離が実現することにより、若手・女性・高齢者など様々なドライバーの活躍が期待できる。

■実証の概要
 本実証は、ドライバーの労働環境改善と輸送効率向上を目指し、スケジュール通りに運行できるか、ドライバーによるコンテナの脱着オペレーションがスムーズに行われるかなど、社会実装に向けた課題の抽出を行う。


期間:2023年7月10日(月)から14日(金)


主な検証項目:
・ 1日6便(関西発3便/日、関東発3便/日)を運行し、事前に合意したスケジュール通りに運行できるかの検証
・ 中継地点に複数台のコンテナが置かれた場合でも、ドライバーが間違えずに脱着できるオペレーションの確認と課題の検証
・ スマートフォンとQRコードを活用したコンテナ管理システムの利便性確認
・ 複数荷主の貨物を混載輸送した場合の役割分担や責任区分の確認と課題の検証


参加企業と役割:

<荷主>
アスクル株式会社
エレコム株式会社
タカラスタンダード株式会社
三井倉庫ロジスティクス株式会社

<荷主および混載作業>
安田運輸株式会社

<中継地点(マルチテナント物流施設「DPL坂戸?」)提供>
大和ハウス工業株式会社

<コーディネーター(運行スケジュール立案など実証実験とりまとめ)>
株式会社デンソー

<運送協力企業>
アートバンライン株式会社
遠州トラック株式会社
高伸物流株式会社
トランコム株式会社
フジトランスポート株式会社
株式会社優輪商事


*1 公益社団法人日本ロジスティクス システム協会 「ロジスティクスコンセプト2030」より
*2 QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標。