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日通、リモート積収クローラー導入

2019年12月18日(水)


左:人が触れることなくロールボックスを安全に運搬 右:導入する搬送支援AGV リモート積収クローラー
 日本通運株式会社は、労働力不足をはじめとする物流現場の課題解消に向けた取り組みとして、同社が開発を支援した搬送支援AGV(トピー工業株式会社製、リモート積収(せきしゅう)クローラー)を導入する。

【背景】
 物流の現場では、人力で重量物・大容量の貨物を移動できるなどその利便性の高さから、ロールボックスパレット※1(以下ロールボックス)が活用されており、同社も全国の各拠点で使用している。一方で、機器の性質上、重心が高くなることもあり、移動の際に転倒の恐れがあるため、重量がある場合は2名以上での荷役を推奨するなどし、災害防止等の安全対策に努めている。
 また、昨今労働力不足が深刻化し、働き方改革が推進される中、大部分が人力作業に頼った荷役の現場を、機械化等により省人化・省力化することは喫緊の課題となっているが、物流ターミナル等においては、時間帯・曜日・季節によってハンドリングする荷量が著しく変動し、頻繁に動線が変わることから、無人搬送機の導入は困難な状況にある。

【経緯】
 同社は、積収クローラーの持つロールボックス積載機能、不整地踏破能力、登坂能力に注目し、物流現場の課題解決に向けて研究を進めてきた。積収クローラーは、プログラムによる自動走行、リモートコントロールによる操作のいずれも可能だが、変動要素の多い同社の現場実態を考慮し、作業環境に対して柔軟な対応が可能なリモコン操作による運用を主体として、トピー工業株式会社及び同社社グループの日通商事株式会社協力のもと、実証を重ねてきた。

【導入するリモート積収クローラーの基本情報】
最大積載重量:500kg
本体重量:130kg
段差昇降:15mm

【リモート積収クローラーの特長と物流現場への導入効果】
・床面の凹凸や段差、傾斜など、大重量を積載している状態でも問題なく踏破可能。
・横移動やその場での方向転換など、小回りが利くため、狭いスペースでもロールボックスの整列が可能。
・リモコン操作者1名により、腕力のない人でもロールボックスのトラックへの積み込み・取り卸ろし・ホーム上の搬送作業が可能。
・ロールボックスに近接する必要がなく、作業スタッフの安全を確保したうえでの作業が可能。
・経路上に人や荷物等の障害物があった場合、センサーで検知して自動で停止。

【今後の展開】
 これまで、同社の実際の現場での実証実験を重ねた結果、ロールボックス搬送作業時の安全確保及び労働負荷軽減、機械化による高齢者や女性の職域拡大、人手不足の解消等、物流現場の課題解決が期待できる成果が確認できた。また、過重労働が問題とされているドライバーの負荷を軽減し、ターミナル作業スタッフとの役割分担の見直しも可能となる。
 同社は、今年度内に開発試験機を複数台導入し、現場活用のさらなる研究に取り組むとともに、積収クローラーの物流現場対応機能向上に向けた開発への協力を進めていく。さらに、定型的な作業を行う現場等においては自動制御による無人化も可能と考えられることから、今後の研究対象として取り組んでいく予定。

1:ロールボックスパレット:カゴ車とも呼ばれるキャスタ付きのボックスパレット。一般にボックス部(上部構造)は三方を囲み、一方を出口としている。量販店や配送センターなどで多く用いられる。