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三菱ふそうと日野、経営統合へ

2023年5月30日(火)

 ダイムラートラック社(CEO:マーティン・ダウム、本社:ドイツ ラインフェルデン・エヒターディンゲン、以下ダイムラートラック)、三菱ふそうトラック・バス株式会社(代表取締役社長・CEO:カール・デッペン、本社:日本 神奈川県川崎市、以下MFTBC)、日野自動車株式会社(代表取締役社長 CEO:小木曽聡、本社:日本 東京都日野市、以下 日野)およびトヨタ自動車株式会社(社長 CEO:佐藤恒治、本社:日本 愛知県豊田市、以下 トヨタ)は、本日、CASE技術開発の加速を目指すとともに、MFTBCと日野を統合する基本合意書を締結した。
 統合後、トヨタは日野自動車の親会社でなくなる見込み。


協業内容は以下の通り。

<協業内容>
 ダイムラートラック、MFTBC、日野およびトヨタは、グローバルでのCASE技術開発・商用車事業の強化を通じたカーボンニュートラルの実現、豊かなモビリティ社会の創造に向けて協業

・MFTBCと日野は対等な立場で統合し、商用車の開発、調達、生産分野で協業。グローバルな競争力のある日本の商用車メーカーを構築
・ダイムラートラックとトヨタは、両社統合の持株会社(上場)の株式を同割合で保有。水素をはじめCASE技術開発で協業、統合会社の競争力強化を支える

 4社の企業理念に共通するのは、「移動を通じて、豊かな社会に貢献したい」という想いであり、これからもが世の中で必要な存在であり続けるために、地球環境に優しいクルマを普及させ、社会システムの中で移動の価値を高めていきたいという考え。

 人やモノの移動を通じて、暮らしを支えている商用車は、「社会インフラ」ともいえる重要なモビリティ。商用車を通じた豊かなモビリティ社会を実現するためには、カーボンニュートラルや物流の効率化など、直面している課題を解決していかなければならないが、それには多大な投資がかかる。商用車は乗用車に比べて台数も少なく、日本市場で商用車メーカー各社が単独で対応するのは大変難しい状況である。日本・アジアにおける産業・雇用を守るためには、開発・生産など事業効率を高め、競争力を強化しなければならない。

 ダイムラートラックとトヨタは両社とも、地域に合わせた「グローバル・フルラインアップ」を強みとし、カーボンニュートラルに向け、地域の事情、ユーザーの使い方に応じた多様な選択肢を提供する「マルチパスウェイ」を大切にしている。「CASE技術は普及してこそ社会の役に立つ」との思いのもと、両社は力を合わせ、その技術開発力を高め、コストを削減し、CASE技術の普及に努めていく。

<各社トップコメント>

(ダイムラートラックCEO:マーティン・ダウム)
 ダイムラートラックは、私たちの製品をとても誇りに思っています。なぜなら、トラックとバスは世界を動かしているのです。明日には、ゼロエミッション車両でも世界を動かし続けるでしょう。本日の発表は、その未来を経済的にも実現させ、持続可能な輸送をリードするための重要な一歩となります。新たな会社は東南アジアで大きな力を発揮し、ダイムラートラックファミリーの重要なパートナーとなることでしょう。


(MFTBC代表取締役社長・CEO:カール・デッペン)
 今回の強固な協業を通じて、運輸業界のカーボンニュートラル化を加速させ、より強い日本の商用車メーカーを創り上げていきます。三菱ふそうと日野という伝統ある両ブランドのもと、日本、アジア、そして世界のお客様のニーズにこたえるため、引き続き主導的な役割を担っていきます。


(日野代表取締役社長 CEO:小木曽聡)
「移動を支え、社会に貢献したい」との志をひとつにし、益々激しさを増すグローバルな競争を生き抜くために共に手を携えて先進技術開発を加速させ、カーボンニュートラルなどの社会課題の解決に邁進してまいります。


(トヨタ社長 CEO:佐藤恒治)
 今回の4社の協業は、日本の商用車の未来、そしてモビリティ社会の未来を作っていくためのパートナーシップです。CASE技術強化によるカーボンニュートラル実現や、社会課題解決を通じて「商用車の未来を変えていくこと」、そしてその「未来をみんなでつくること」、4社はその想いを共有し一緒に取り組んでまいります。


 なお、新会社の名称、所在地、体制、協業の範囲や内容については、協議の上、24年3月期中の最終契約締結、24年中の統合完了を目標として進めていく。関係者すべてが合意に達し、関連する取締役会、株主、当局の承認のもと進める予定。


以下は日野側の発表より一部抜粋編集。

(1)本経営統合の方式
 本経営統合は、日野及び三菱ふそう(又はそれぞれの事業を営む会社)が統合会社(以下「本統合会社」という)の完全子会社となる方法により実施する予定。
 また、トヨタ及びダイムラートラックの本統合会社の持分比率に関して、それぞれトヨタ及びダイムラートラックで別途合意する比率を保有し、その持分比率は同割合とする予定。そのため、本経営統合の実施後、トヨタは日野自動車の親会社でなくなる見込み。なお、本統合会社の株式については東京証券取引所プライム市場及び名古屋証券取引所プレミア市場に上場されることを想定している。
 本統合会社の事業範囲及び持分比率を含む経営統合の具体的な形態及びその方法については、競争法当局との協議も踏まえ、日野、三菱ふそう、トヨタ及びダイムラートラックの4社において今後も引き続き協議の上で、最終的に決定する予定。


(2)本経営統合の日程
 本経営統合の日程に関しては、2024年3月の最終契約締結、及び 2024年12月末までの本経営統合の実施を目指して、日野、三菱ふそう、トヨタ及びダイムラートラックの4社において引き続き協議の上で決定する予定。なお、かかる日程は、最終契約の交渉、競争法その他法令上必要なクリアランス・許認可等の取得手続の進捗、日野のエンジンの排出ガス及び燃費を含む認証に関する問題(以下「エンジン認証問題」)についての当局調査及び訴訟等の状況その他の理由により今後変更される可能性がある。


(3)本経営統合の統合比率
 本経営統合の統合比率は、現時点では確定しておらず、日野、三菱ふそう、トヨタ及びダイムラートラックの4社において今後協議の上で合意する予定。
 日野は、2022年3月4日付「エンジン認証に関する当社の不正行為について」の公表以降、エンジン認証問題について従前から開示をしているが、エンジン認証問題にかかるリスクについては、三菱ふそうの株主は負担すべきではないとの基本的な考え方から、本経営統合の統合比率算定のベースとなる日野の株式価値については、大要以下の方法により、算定することを予定している。

 より具体的には、日野及び三菱ふそうの株式価値は、今後実施される予定のデュー・ディリジェンスの結果や、日野及び三菱ふそうがそれぞれ起用する第三者算定機関による価値算定の結果等の諸要素を踏まえて当事者間で協議・合意された当社及び三菱ふそうの企業価値(日野については、エンジン認証問題に関する潜在債務の影響を織り込まずに合意された企業価値)を基準として、本経営統合の実施日前の一定時点(具体的には、本経営統合の承認に係る日野の株主総会開催日から遡った直前四半期末日を想定しており、以下「本基準日」という)において、純有利子負債及び運転資本等による調整を行い、最終的に確定する予定。なお、今後の各種手続の進捗にもよるものの、日野のエンジン認証問題にかかる潜在債務の相当部分については、本基準日時点において合理的な見積に基づく引当てを行うことができる可能性があり、本基準日までに引き当てられた金額(以下「本引当金」という)は、本基準日における純有利子負債の調整等による当社の株式価値算定に際して、日野の企業価値から控除されることになる。


(4)エンジン認証問題に関する特別補償
 本基準日以降に、本引当金に含まれないエンジン認証問題に起因する潜在債務が顕在化し、これにより本統合会社、日野又は三菱ふそうの株主が損害を被った場合、本統合会社及び日野は、当該株主が一定の条件に関し同意することを条件として、三菱ふそうの株主に対して、その損害につき一定の金銭補償義務を負う旨を最終契約に規定することを予定している。