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運送事業者レポート

運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事

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【第185回】    行方運送株式会社(茨城県行方市)

トレーニングルームを開設し月2回はマッサージも

 ドライバーの採用、教育・育成と定着率向上は多くの事業者に共通する課題だ。それでもドライバー不足をカバーするために協力会社への業務委託ができれば良いが、協力会社でもドライバーの確保が厳しい状況になっている。まして特殊車両による輸送では外注化が難しく、自車両で運ばなければならない。そのためドライバーの確保、定着率向上のために労働環境の改善や福利厚生の充実に努めることが必要だ。牛・豚・鶏などの飼料輸送、生乳の集荷と輸送、鶏卵集荷などを主たる事業にしている行方運送(本社・茨城県行方市、熊谷茂穂社長)では、バルク車やタンク車などの特殊車両がほとんどだ。酪農家や畜産農家、養鶏農家などへの飼料輸送では固有の苦労が伴う。また鶏卵の集荷では輸送中の衝撃を最小に抑えるために全車両をエアサス車にし、荷物の取り扱いも慎重に行わなければならない。そこで「従業員の教育や福利厚生などには昔から力を入れてきた」(熊谷社長)。

 行方運送の設立は1956年2月。行方市の本社の他に鹿嶋営業所(第1営業所と第2営業所)、水戸営業所(笠間市)、千葉営業所(千葉市若葉区)、神奈川営業所(海老名市)、新潟営業所(長岡市)がある。従業員数は240人で保有車両数は250台。売上高は2025年3月期が29億2800万円、26年3月期は33億2000万円を見込んでいる。保有車両はダブル連結トラック25セット、セミトレーラ10セット、25㌧車~5㌧車があり車両の約半分はバルク車である。その他にも生乳輸送のタンク車などの特殊車両が多い。そのため傭車が難しく、ドライバーが企業発展の要と認識している。そこで同社は昨年10月から鹿嶋第2営業所にトレーニングルームを開設。同時に、マッサージ師とも契約して月2回は予約制で従業員がマッサージを受けられるようにした。さらに2026年度以降には順次、他の営業所にもトレーニングルームを開設していく予定だ。

 同社の鹿嶋営業所は、鹿島臨海工業地帯に近い。鹿島臨海工業地帯には約180の会社(工場)があり、様々なものを製造している。同工業地帯の神之池西部地区には多数の配合飼料メーカーが集中していて、年間に約400万㌧の飼料が生産されているという。このような立地条件の優位性も活かして、行方運送では多くの配合飼料メーカーと取引している。また千葉県にある配合飼料メーカーの工場からも、鹿嶋営業所のサイロに横持ち輸送して一時的にストックし、同営業所を基点にして輸配送するようなこともしている。配合飼料は茨城、千葉、栃木、群馬の各県さらに甲信越や福島県にも輸配送している。納品先は酪農家、畜産農家、養鶏農家である。鹿嶋から各農家に直接配送するだけではなく、神奈川営業所と新潟営業所では、鹿嶋から両営業所に幹線輸送し、各農家への配送はそれぞれの営業所のドライバーが行うといったリレー輸送方式を採用している。

 同社では茨城県内の養鶏農家からの鶏卵集荷も行っている。鶏卵農家で卵を洗浄し、大きさなどで選別してパッキングしたものを集荷して農業団体のセンターに運ぶ。鶏卵は20℃以下の定温で運ばなければならない。またタンク車で酪農家から生乳の集荷もしている。生乳の集荷地域は茨城全県と千葉県の中央部にある酪農家からで、集荷した生乳は酪農協同組合などのクーラーステーション(コールドステーション)に運ぶ。同社が輸送しているクーラーステーションは、茨城県内なら笠間市、千葉県は千葉市にあり、これらのステーションから牛乳メーカーの工場に運ばれて商品化されるのである。同社ではクーラーステーションから牛乳メーカーの工場への輸送も行っている。納入先は各大手牛乳メーカーの工場である。また、日立港などに運ばれてくる生乳の輸送も行っている。生乳輸送は決まった牛乳工場だけではなく、場合によっては遠方の乳製品工場に運ぶこともある。

 このような特殊車両の輸送を行っている行方運送では、安全衛生や福利厚生の充実に力をいれている。鹿嶋第2営業所は全社の安全衛生管理を統括することを主な目的として2024年10月に開設した。同営業所の開設を機に安全衛生管理者を2人から5人に増員している。その鹿嶋第2営業所の2階に昨年10月にトレーニングルームを開設し、各種トレーニング機器を備えて自由に利用できるようにした。トレーニングルームの中にはマッサージチェアも置いてあるが、マッサージ師と契約して月2回、1日6時間はマッサージを受けられるようにしている。予約制で無料である。鹿嶋営業所にトレーニングルームを開設したのは、飼料輸送では全営業所からドライバーが積込みに来るからで、鹿嶋営業所に所属するドライバー以外にも、飼料輸送をしているドライバーが利用できる。行方運送では他の営業所にもトレーニングルームを順次、開設していく計画である。

<物流ジャーナリスト 森田富士夫>