トラック情報サイト「トラックNEXT」

トラックNEXTは、トラックユーザーとトラック関連メーカーをつなぐトラック情報サイトです

運送事業者レポート

運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事

バックナンバー一覧はこちら

【第119回】    株式会社白石倉庫(宮城県白石市)

設立120年、東北エリアでグローカル戦略を展開

 白石倉庫(本社・宮城県白石市、太宰榮一社長)は今年6月に設立120年を迎えた。同社の設立は1900年(明治33年6月20日)で、当時の白石商業銀行(現在の仙南信用金庫)の経営陣が主導し、地元の経済人などが協力して東北における初めての株式会社形式の倉庫会社としてスタートした。現在は普通倉庫、定温倉庫、低温倉庫、空調・除湿倉庫、賃貸倉庫、トランクルーム、保税蔵置場、検疫燻蒸倉庫など、仙台を中心に15拠点を持つ。そのうち10拠点は普通、定温、低温などを併設、トランクルームが1拠点、貸倉庫が4拠点である。また、輸出入貨物の取扱業務や流通加工なども行っている。しかし、実運送事業には参入していない。「新拠点をつくる場合には事前にトラック運送会社に話を持って行く」(太宰社長)。倉庫業に経営資源を集中し、輸配送はトラック運送事業者とのアライアンスにより、保管と輸配送のトータルサービスを提供する体制をとっている。

 白石倉庫の事業展開の基本的な戦略は、東北エリアを対象にした「グローカル物流サービス」である。関連会社には、営業倉庫の空き情報や賃貸情報、不動産情報を提供するロジリンク、太宰商店、太宰林業などがある。倉庫の拠点はほとんどが宮城県内。仙台は東北の物流拠点が集積しているが、同社も仙台を中心に多数の拠点を配置している。「たしかに集約した方が効率的なのは事実。だが、倉庫は立地条件の優位性が重要で、効率よりも顧客の利便性を優先している」(太宰社長)という。ここに拠点が欲しいという顧客のニーズに応えられる立地条件が最大の「売り」という考え方のようだ。このようなことから宮城県内では最多の物流拠点を持っている。仙台港や仙台空港に近い拠点、仙台東部の企業集積地域の拠点、JR貨物ターミナルに近い拠点、路線便利用に便利な拠点、4号線バイパス沿い、田村インターや白石インター、仙台東インターなどに近い拠点などである。

 社員数は43人で派遣社員が17人。「東日本大震災前のピークには85人いた。あと10人ぐらいは必要だが、なかなか採用できなかった。しかし、最近は応募者が増えてきている」(太宰社長)という。取扱い荷物は様ざまで、米、麦、大豆などの穀物類いわゆる袋物、さらに青果物や花など。製造業の取引先では、工場のラインをサポートするメンテナンス関係など。たとえば精密機械では工場のラインの変更に伴って一時的に使わなくなった機材などを引取り湿度管理をして保管、ラインを元に戻す時には工場に納品するといった業務もある。トナー原料やその他の工業用原材料、電線やケーブルの原料になる樹脂ペレットなど。住宅建材関係では2×4住宅資材、雨どい、ベニヤなども取り扱っている。食品関係では、輸入された食品の加工原料を預かり、食品工場に納品する。その他にもラップ製品、ごみ袋、USBケーブルなどのパソコン付属品、家具、雑貨など多岐にわたる。

 白石倉庫では幹線輸送、エリア配送とも数社の運送事業者と提携して、スポーツシューズを関東から東北6県に翌日配送している。東北エリアの数カ所のターミナルまで幹線輸送し、ターミナルでコースを組んで東北全域の店舗に配送。さらに同社では東北というローカル物流に軸足をおき、同時に国際的なグローバル物流との接点としての業務も行っている。このグローカル物流サービスが同社の基本的戦略だ。国際物流を担い国内でも全国展開している大手総合物流企業や大手倉庫会社などと提携し、自社はローカルのパートナーに徹する。そのためには「グローバル展開している物流企業のローカルのパートナーになり得るサービス品質が求められる」(太宰社長)という。国際的な大手物流企業から輸入荷物を預かり東北にデリバリーする。また、東北から海外に荷物を輸出する地元荷主の業務を受託し、国際的な大手物流会社を介して海外に荷物を発送するというもの。

 白石倉庫では様ざまな研究開発にも取り組んできた。最近では2015年4月に製品化した新型BOXフレコンがある。「震災に強い梱包形態の研究」をテーマに取り組み、全農みやぎ県本部、日通商事と白石倉庫の3社が共同開発したもの。現在も東北大学大学院工学研究科との産学連携で、改良や改善の研究を継続しており、宮城県のみやぎ型オープンイノベーション推進支援事業や七十七銀行のニュービジネス支援事業にもなっている。社内的には120周年の今年から「クラウド型人事評価制度」と「顔認証勤怠管理システム」を導入した。この人事評価制度は「絶対評価による新しい人事評価制度」(太宰社長)で、顔認証勤怠管理システムは正確な勤怠管理を目的にしている。「当社は東日本大震災からの復旧という苦しい中でも給料を減額したりしないで乗り切ってきた。これからはみんなが一緒に早めに帰れるような会社を目指したい」(太宰社長)という考えである。

<物流ジャーナリスト 森田富士夫>

(写真提供:白石倉庫)