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運送事業者レポート

運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事

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【第117回】   五光物流株式会社(茨城県筑西市)

農薬物流で新サービス展開

 コロナ禍を機に荷主は物流の共同化など物流再構築を進めてくることが予想される。ロットの小型化も進むものと思われる。これらは従来から少しずつ進行していたが、コロナ禍で加速がつくだろう。そのような中で五光物流(本社・茨城県筑西市、小林章三郎社長)のSTEP便(ステップ20)が、農薬に特化したサービスで新たな需要を掘り起こしている。ステップ20は路線便(特積み)では大きく、貸切では小さい荷物の積合せ輸送である。同社がステップ20を開始したのは「バブル経済が崩壊したころから」(小林社長)で約30年前になる。サービスの基本的な仕組みは、①ストックの荷物をオーダーに応じてピッキングして配送コースに乗せる、②スルーの荷物で他の事業者が輸送してきたものを配送コースに仕分けして積み合わせる、③ハブ&スポークの荷物を配送コースに積み合わせるというもの。さらに配送後はハブ&スポークの荷物を集荷しながらセンターに帰る。

 五光物流は1965年の設立。運送事業、倉庫業、PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物収集運搬業、ドローンスクールなどの事業を行っている。ドローンスクールは2016年5月にJUIDA(一般社団法人日本UAS産業振興協議会)認定のつくばドローンスクールを開校している。本社の他にトラックターミナル、下館物流センター、小川低温物流センター、つくば明野物流センター、二宮物流センター、上三川物流センターがある。保有車両は最大積載重量10t超車20台、同6t車6台、同3.5t車14台、同2t以下車2台、大型バキューム車3台、大型アームロールコンテナ車4台である。同社は危険物などの取扱いを得意としている。毒物劇物取扱責任者の有資格者が2人いて毒物劇物一般販売業登録もしており、危険物(乙4類)の有資格者は20人いる。同社は利益率も高く、2020年3月期でみると売上高が約33億円、経常利益率12%と増収増益だった。

 五光物流が危険物取り扱いのノウハウを活かして特化したのが農薬物流だ。同社では以前から危険物を倉庫で一貫管理するような業務も行ってきた。そのような中で「2年ほど前から農薬に特化した物流を展開」(斉藤浩利常務)するようになったのである。この農薬の在庫管理や農薬問屋への納品では、危険物の取扱いと積合せ配送の両方のノウハウを活かしている。さらに昨年10月からは、農薬問屋に納品して空になったトラックに、その問屋が販売先に納品する農薬を積んで配送するという新たな業務も受託するようになった。それによって車両の稼働効率がさらに向上し、「2t車クラスで近場の仕事で月100万円ぐらいの売上」(小林社長)を確保する車両もあるという。以前は下館物流センターで化学品などの取扱いも行っていたが、化学品は2016年4月に開設した小川低温物流センターに2年ほど前から全面的に移管。下館物流センターでは農薬を専門にしたのである。

 農薬の原料は輸入品が多く、海コン事業者が海上コンテナで輸送してくる。同社ではデバニングをして原料を保管し、工場からのオーダーに基づいて工場に原料を納入する。農薬メーカーの工場は群馬県、栃木県、茨城県などの北関東に多い(系列工場や下請工場を含む)。原料をこれら複数の工場に納入するとともに、製品化された農薬を数社の農薬メーカーの工場から集荷してきて管理する。センターでは、各メーカーの九州や北海道の拠点に幹線輸送(ほとんどは各地元の事業者の帰荷として委託)することと、関東エリアにおける問屋やホームセンターなどへのデリバリー業務をしている。以前は問屋への納品などを路線便(特積み)が行っていた。だが、コンプライアンスなどの関係から路線便(特積み)では取り扱わなくなってきたため、五光物流では一般貨物のステップ20とは別に、ステップ20のシステムを農薬に特化したサービスを始めたのである。

 問屋もホームセンターも複数メーカーの農薬を積み合わせて納品している。茨城、栃木、群馬の北関東3県でシェアの高い農薬問屋が3社あり、同社ではその3社に納品している。現在の配送方面は土浦便と県西地区便(古河便)で、朝7時に問屋に持ち込み、問屋では営業マンや委託した運送事業者が販売先に納品していた。だが、五光物流の車両が朝7時に空車になるなら、その車両で配送したが良いということになり「昨年10月からスタートした」(斉藤常務)。同社では共同配送のエリアを、今秋から宇都宮(栃木県)、熊谷(埼玉県)、前橋(群馬県)にも拡大する。農薬メーカーの数は多く、コロナ禍を機に「北関東に物流拠点を持ちたいというオファーが増えてきた」(小林社長)からだ。多数の農薬メーカーが五光物流と新規契約すれば、工場から同社センターに幹線輸送して保管・管理し、各メーカーの農薬を積み合わせてセンターから納品先に直接配送することが可能になる。

<物流ジャーナリスト 森田富士夫>