運送事業者レポート
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運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事。(毎月第1週に更新)

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【第35回】 ヨコウン株式会社(秋田県横手市)

エコフードなど5つのリサイクル事業を展開


 トラック運送事業者にとって環境問題は2つの側面がある。一つは車両その他でCO2の排出量を減らす努力。もう一つは、物流サービスとして環境をビジネス化するということである。

 物流事業者の立場から、積極的に環境ビジネスを展開しているのがヨコウン(本社・秋田県横手市、塩田充弘社長)である。同社の創業は1881年(明治14年)、会社設立が1951年(昭和26年)という社歴の会社だ(現社名への変更は2012年)。現在は輸配送業務、倉庫業、流通加工、通関業、環境事業などの他に、自動車整備事業、人材派遣・請負業務、総合保険代理業、給油所事業など幅広い事業を展開している。輸配送業務部門だけをみても、食品の3温度帯輸送、小口から大口ロットまでの地域内輸送、幹線輸送、JRコンテナや海上コンテナのコンテナ輸送、学校給食配送、LPG輸送など総合的な業務内容である。環境事業は1998年に福祉環境部門を設置してスタートした。

 同社は、環境事業として@フードリサイクル、A発泡スチロールリサイクル、B機密書類リサイクル、C梱包資材リサイクル、D樹脂リサイクルの5つのリサイクル事業を展開している。売上高は39億8400万円(2013年3月期)で、そのうち環境事業部門の売上は約1億2000万円と、全体の約3%を占めている。

 福祉環境部は、広く社会貢献できる企業になろうという趣旨で1998年に設置したものだが、同年には産業廃棄物収集運搬の許可を取得している。5つのリサイクルのうち、まず、発泡スチロールのリサイクルからみると、1998年9月からスーパーの店舗納品の帰り荷として発泡スチロールの回収を始めている。当初の問題は、食品を運ぶ車両で回収することに対し、スーパー側の抵抗が強かったことだ。そこで、発泡スチロールの内側を洗浄して、いくつかを束ねてもらったりして対応した。現在では、食品配送車両と廃棄物の回収車両は分けている。

 発泡スチロールは、最初は溶融作業などを外注していた。しかし、1999年秋に溶融機を導入し、自社でインゴット化をするようになった。2000年8月には中間処理業の許可も取得して、破砕機なども導入している。

 リサイクルの流れは、秋田県内のスーパーから発泡スチロールを収集→自社の産業廃棄物処分業の施設に入庫→機械により減溶化→減溶した発泡スチロールをインゴット化(1個約17s)→インゴットをパレット積みしラップ巻きして出荷という手順である。インゴットは販売会社が香港に出荷し、海外で各種のプラスチック製品として再生利用されている。

 またヨコウンでは昨年、減溶機を新型に代替えして、減溶装置から排出されるCO2の削減も図った。旧設備は灯油を燃料としたバーナー式だったため、発泡スチロール1sを処理するのに0.20sのCO2を排出していた。新設備は電気式減溶機なのでCO2排出量は0.05sと、4分の1に削減している。

 機密書類リサイクルは裁断機を搭載した車両で顧客先を訪問。顧客が立ち会って機密書類を裁断する。裁断したものは専用袋に詰めて古紙卸問屋に持ち込む。古紙卸問屋から製紙会社に運ばれ、再生紙として製品化される。機密書類の排出者にはリサイクル証明書を発行するという仕組みだ。

 また、梱包資材リサイクルは、物流現場で大量に使用されているストレッチフィルムやPPバンドの回収、再利用である。これらの梱包資材はほとんど使い捨てされているのが実態だ。同社では使用済みの梱包資材を回収し専用機に投入。圧縮した梱包資材をリサイクルしている。

 さらに、樹脂リサイクルは、一関営業所で中間材料などを自動車部品製造工場に納入しているが、自動車部品工場から排出される樹脂の破砕くずを回収し、同社の施設で粉砕機に投入して粉砕する。粉砕してペレット状になった樹脂くずはフレコンに詰め、中間材料を製造している工場に納入するというもの。

 フードリサイクルは1999年から開始。納品先のスーパーやコンビニから排出される食材残渣などの生ゴミを回収してコンポスト化する。コンポストは契約農家に無償で提供し、農家はそれを堆肥化して野菜を栽培。野菜はスーパーの「ヨコウン・エコフード・コーナー」で販売する。同コーナーはヨコウンがスーパーから借り、農家はスーパーからコードをもらって販売する。売上金額の一定額がヨコウンとスーパーのマージンとなり、スーパーには同社から支払うという方式である。

 同社では2003年8月にフードリサイクル・ハウスも完成させている。さらに今年4月にはソーラー事業も立ち上げた。社会貢献では2010年からアダプト・ロード・プログラムを始め年4回の定期的な道路清掃活をしている。2003年には秋田県環境大賞、2008年には環境大臣賞を受賞している。ヨコウンは、物流事業者の立場からの様ざまな環境ビジネスの展開を図っている。

<物流ジャーナリスト 森田富士夫>