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運送事業者レポート

運送事業者、荷主における新たな取り組みや成功事例にスポットをあてたインタビュー記事

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【第184回】    越野運送株式会社(大阪市都島区)

事故件数を前年度比で半分以下に削減

 トラック運送事業者にとって事故削減は永遠の課題といっても良い。2025年度は事故減少に取り組み、2025年4月~12月の年度途中だが、事故発生件数を前年度比37%にまで減らした事業者がいる。まだ2025年度は2026年1月~3月の4分の1を残しているが、前年度比50%の年度目標を達成する公算は大きい。この事業者は越野運送(大阪市都島区、越野泰弘社長)である。越野運送の創業は1932年で、会社設立は1953年である。関連会社も含めると売上高は約12億6000万円で、従業員数は150人。越野運送単体では売上高が約6億6000万円で、従業員数は70人(うちドライバーは65人)、保有車両数は68台である。運輸事業部としては本社の他に兵庫営業所(兵庫県たつの市)、滋賀営業所(滋賀県湖南市)がある。また環境システム事業部やケアサービス事業部もある。さらに関連会社としてはダスキンシャトル北大阪がある。

 事業内容は一般貨物自動車運送、同取扱事業、産業廃棄物収集運搬(大阪府・兵庫県)。取引のメインはダスキンで売上の約50%、さらにダスキンの調達物流が約10%である。同社はこれまでダスキンと部品納入会社と連携し、調達物流で様々な効率化を推進してきた。たとえばダスキンの調達物流ではミルクラン方式の導入や、長距離調達物流における鉄道へのモーダルシフトである。ダスキンの調達先の商社にはパーツ製造を委託している多数のメーカーがある。これらパーツメーカーの集荷にミルクラン方式を導入し、大阪中央工場にまとめて納品するようにした。また、ミルクランで集荷した埼玉工場向けの荷物はJR貨物の大阪貨物ターミナルからコンテナ輸送するようにした。同社は自動車部品輸送も行っていて売上の約15%を占めている。群馬県から大阪にある自動車メーカーのパーツセンターに部品を運び、さらに兵庫県内や山陰方面のディーラーへの配送もしている。

 越野運送はさらにレントゲンなどの精密機器輸送も行い、百貨店関係では百貨店のセンターから近畿地区の5店舗への配送。また、大学や法人関係の引越サービスも行っている。さらにイベント関係では楽器の輸送もしている。このような事業展開をしている越野運送では、2019年に後継者の越野泰地専務が入社したのを契機に若返りを進めている。当時の同社の幹部は50歳代なので、比較的若い会社といえる。だが、「定着率が良いので辞める人が少ないのは良いのだが、しかし、1年経つと平均年齢が1歳ずつ高くなっていく。10年後には定年などで20人ぐらいは退職していく。そのため今(2019年当時)から若い人を20人ぐらい入れておかないといけない」(越野社長)。このようなことから高校新卒採用を始めたのだが、4年ぐらいで止めたという。理由は定着率が悪かったためのようだ。そして若手の中途採用に力を入れるようにしたのである。

 若手採用の方法として、具体的にはSNSなどの活用だ。泰地専務が中心になってショート動画などを作成した。「1日の流れ、行き場所、仕事のフローなどショート動画を何パターン化かリクルート向け作った」(泰地専務)。越野運送では、現在のドライバー65人の平均年齢が47歳である。トラック運送会社の業界平均年齢では比較的若い方ではないかと思われるが、同社ではさらに若いドライバーの採用に力を入れていく方針だ。ところが若い新人ドライバーは事故の発生も多いという。「若返りに伴って普通免許だけで入社する人が多く、トラックとは車幅などが違うため新人の事故が多い」(泰地専務)。そこで事故発生件数の削減が大きな課題になったのである。一口に「事故」といっても、各事業者によって事故の社内定義が異なる。越野運送ではセンター内での小さな事故、たとえばバンパーを少し擦ってしまったようなケースでも事故としてカウントしている。

 2024年度(2024年4月~2025年3月)は33件の事故があった。「2025年度は事故削減への取り組みを強化して15件に減らすことを目標に掲げた」(越野社長)。具体的には「一つは事故の共有化で事故のイラストを全社的に共有するようにした。もう一つは2度と事故を起こさないようにするための対策」(泰地専務)だ。事故を起こしたら写真を添付して所長にLINEで報告し、所長から専務に報告して専務が面談のスケジュールを調整する。また、「事故証書」を半年間携帯するようにした。専務との面談は月1回で半年間行う。月1回半年間の面談で、事故への反省が十分なされたら、「事故証書」を携帯しなくても良いことにする。その結果、2024年度には33件あった事故が、2025年4月~12月の途中経過だが12件にまで減少。年度途中ではあるが12月時点では前年度比37%と言う成果が出ている。もちろん人身事故はゼロだ。

<物流ジャーナリスト 森田富士夫>

(写真提供:越野運送)