第17回 全国トラック運送事業者大会開催!

第17回全国トラック運送事業者大会 全日本トラック協会星野会長

公益社団法人全日本トラック協会(星野良三会長)は2012年10月18日、静岡県浜松市のアクトシティ浜松において「第17回全国トラック運送事業者大会」を開催した。

全体会議冒頭、(公社)全日本トラック協会会長 星野良三氏は、本大会に参加いただいた方々、ならびに開催地ブロック協会、静岡県トラック協会に感謝を述べた。また、10年目を迎えたトラックの森作り記念植樹式が行われ、地球の温暖化対策、環境保全に対する意識の向上に貢献するものとして、関係各位にも感謝を述べるとともに、今後のトラック運送業界の健全な発展と緑の森に育つことを祈念した。
今年度の運送事業においては、東日本大震災における復興需要、エコカー補助による自動車の買い替えが期待されたが、円高や欧州負債問題、中国経済の減速、領土問題による韓国中国との摩擦により、夏以降大変低迷しており、「物の流れ」も低調に推移している。トラック運送業界としても現政府に対し、円高是正やデフレ対策など強力に景気回復を図る補正予算の編成を強く要望すると延べた。

第17回全国トラック運送事業者大会

今回で17回目になるこの大会であるが、今年は全国から1500人を超える運送事業者やトラック協会の職員が一堂に会した。
会場ではパイプオルガンのウエルカムコンサートによって出迎えられ、全体会議では中部トラック協会会長 小幡e伸氏((社)愛知県トラック協会長)による開催地ブロック協会長挨拶。次いで(公社)全日本トラック協会会長 星野良三氏による挨拶ののち、トラック輸送振興顕彰「鈴木賞」の紹介が行われた。
全体会議はここで一旦中断、2つの「分科会」に分かれコーディネーター・パネラーともに事業者というパネルディスカッションが行われ後、記念講演、全体会議再開と続いた。

全国から約1500人が集結

第17回全国トラック運送事業者大会

会場となったアクトシティ浜松の大ホールのキャパシティは2,336席。

500インチの大型映像スクリーンなど、最新鋭システムを完備しており、快適な会議環境を確保することを意図して椅子幅525mm,奥行き950mmと、長時間の会議でも疲れないゆとりの座席に、全国から約1,500名が集まった。

右の写真では分かりにくいかもしれないが、1階席は全ト協、北海道・東北・北陸信越・近畿・中国・四国・九州のブロック。2階席が関東、3階席に中部ブロックとなっていた。

最多参加はやはり地元である静岡県。参加者数は実に121名であった。

開催地ブロック協会長中部トラック協会会長 小幡e伸氏((社)愛知県トラック協会長)

中部トラック協会会長 小幡e伸氏((社)愛知県トラック協会長)

本大会に参加いただいた方々に対し、15県のトラック協会をあげて歓迎と感謝を申し上げます。

浜松は遠州灘・浜名湖など四方を異なる環境に恵まれ、多くの景勝地がございます。また山海の食材にも恵まれ、気候が温暖で誠に素晴らしい土地柄です。一方スズキ・ホンダなどの車産業に加え、ヤマハや河合楽器などモノづくりの街でもあります。

さて、平成24年度下期の営業トラックの輸送量は、欧州債務の問題に加え、中国経済の減速を受け景気の低迷が避けられず、再び前年度を割れる落ち込みにいたるようであります。これに加え運賃水準の低下、軽油価格の高止まり、安全環境に関わるコストの増加などの課題を抱え、トラック運送事業の経営環境は誠に厳しいものがあります。
こうした折に、全国各地の皆様が一堂に会し、トラック運送業界の抱えるこれからの緊急の課題について、新たなる視点に立って議論を深めることは、誠に意義深いことであり、今後のトラック運送事業の発展に大いに役立つものと確信しております。

トラック輸送振興顕彰「鈴木賞」の表彰

トラック輸送振興顕彰「鈴木賞」

「鈴木賞」とは運送事業の高度化・効率化を図るため、トラック輸送において優れた業績を挙げた個人または団体を表彰するもの。

社団法人岩手県トラック協会東日本大震災緊急輸送対策室
東日本大震災時に、のちに岩手方式と呼ばれ各所より高い評価を受けた岩手産業文化センター(アピオ)における円滑な緊急物資供給

社団法人秋田県トラック協会
その注意ありがとう運動の展開並びに運行管理者試験受験者のための勉強会の企画・指導

東海運株式会社
BCP(事業継続計画)の取組み

大会決議

大会決議

私たちトラック運送事業者は、我が国の国民生活、産業活動を支える公共的物流サービスの担い手として、その重要な使命を果たすべく、日夜懸命に努力している。
しかしながら、長引く不況や円高の進行、燃料価格の高騰に対処すべく、徹底した省エネやコスト削減に努めているが、収支のバランスは好転する兆しが見えない状況にある。今や多くの事業者が事業存廃の岐路に直面しているのが現状である。
こうした危機を突破して、トラック運送事業者が担う国民生活のライフラインとしての重要な使命を達成するため、トラック運送業界一丸となって 政府に対し、経済危機の打開に向けた景気・経済対策の断行を強く要請するとともに、規制緩和の再評価と必要な見直しの促進、過重な税負担や高速道路料金の軽減など、その具現化を可及的速やかに求めるものである。それらの実現によって我々トラック運送業界が国民生活に必要な安全で安心な物流サービスの提供を可能にするものである。
我々は、今後とも、交通安全・事 故防止や環境保全・温暖化対策に率先して取り組み、更に公正競争・法令遵守に努め、事業者が創意工夫を図り、自助努力のもと国民生活の安定供給に万全を期した輸送を鋭意展開するものである。
トラック運送業界が社会との共生を図りながら重要な使命を果たし、その社会的地位の向上を図り、将来に希望の持てる産業として発展を遂げるためには、今こそ、トラック運送業界の叡智と総力を結集して、これら当面する諸課題に勇気と英断をもって果敢に対応していかなければならない。
このため、本日、第十七回全国トラック運送事業者大会にあたり、我々は、本大会の総意をもって、以下のとおり決議する。

一、事業規制の再評価を行い必要な見直しの促進
一、車両の効率運用、原価管理を徹底し、適正運賃収受に向けて荷主との公正取引の実現
一、軽油の安定確保と高騰対策の推進及び燃料サーチャージ制の導入促進
一、自動車関連諸税の簡素化・軽減の実現及び高速道路料金の引き下げ
一、交通・労災事故撲滅運動及び環境・省エネ対策の積極的な推進
一、適正化事業の推進による法令遵守の徹底と輸送秩序の確立
一、事業後継者の育成と少子高齢化に対応した労働力の確保対策の推進
一、大規模災害時における緊急輸送体制の確立

記念講演「経営雑感」 スズキ自動車株式会社代表取締役会長兼社長 鈴木 修氏

スズキ自動車株式会社代表取締役会長兼社長 鈴木 修氏

講師紹介

1930年1月30日、岐阜県益田郡下呂町(現、下呂市)生まれ。
中央大学法学部卒業後、銀行勤務を経て1958年4月、鈴木自動車工業株式会社(現、スズキ株式会社)に入社。2代目社長 鈴木俊三の娘婿となる。1963年11月、取締役の就任。1967年12月に常務、1973年11月に専務、1978年6月に社長就任を経て、2006年6月から会長、2008年12月には再び社長を兼務する。
自ら「中小企業のおやじ」と称し、徹底して「現場」にこだわる強いリーダーシップで、世界22か国に32の生産会社を展開。連結売上高2兆5千億円の3分の2を、インド、パキスタン、インドネシア、タイ、ハンガリー等海外向けで占めており、国内生産100万台、海外生産200万台体制を構築した現在も、さらなる海外進出を推し進めている。

恒例の 「ガンバローコール」にかわり「やらまいか!」

恒例の 「ガンバローコール」にかわり「やらまいか!」

鈴木社長の記念講演に続き、全体会議では大会決議、トラック輸送振興顕彰「鈴木賞」授与式、来賓挨拶、次回大会開催地ブロック協会長挨拶が行われ、最後に恒例となった「がんばろー」コールとなった。

しかし、ここで一つの提案が

静岡県浜松地方の言葉では「やってみよう」「やってやろうじゃないか」を「やらまいか」と言う。そこで「ガンバロー」ではなく「やらまいか!」のコールにしたいとのこと。

会場に集まった約1,500人による「やらまいか!コール」は実に威勢がよく、元気をもらった。

パネルディスカッション 第2分科会「トラック業界の経営基盤の強化について」

川崎陸送株式会社 取締役社長 樋口 恵一氏 ヤマコー・テクノ流通株式会社 代表取締役 山崎 高嗣氏 株式会社中田商事 代表取締役社長 中田 純一氏 有限会社マルヨシ運輸 代表取締役 吉里 国男氏 約700人の聴衆者で埋め尽くされた会場
<コーディネーター>
川崎陸送株式会社
取締役社長 樋口 恵一氏
<パネリスト>
ヤマコー・テクノ流通株式会社
代表取締役 山崎 高嗣氏
<パネリスト>
株式会社中田商事
代表取締役社長 中田 純一氏
<パネリスト>
有限会社マルヨシ運輸
代表取締役 吉里 国男氏

<会場>
約700人の聴衆者で埋め尽く
された会場。

パネルディスカッション

― テーマ:原価意識の向上について

分科会として開催されたパネルディスカッションは、これまでのセミナー形式ではなく、パネルディスカッション形式が採用された。しかも、コーディネーター(司会)もパネラーも事業者という初めての取組みだ。

テーマは原価意識の向上について。現在、全ト協の星野会長を筆頭に、原価意識を高めようという機運が高まり、各地のトラック協会でも原価意識セミナーが開催されているだけに約700人が聴講した。

まずパネラーとして選出された各社の代表から、それぞれ自社の取組み内容の説明があった。スクリーンに原価計算シートが映り出されると、聴講者が一斉に注視。さすがに全国大会に参加される事業者の原価に対する意識は高い。その後司会者から事業者でなければ気づかないような鋭い質問がされていく。

話す方も事業者であれば、進行や質問をする司会者も事業者なだけに、内容が実にリアルだ。きっと多くの聴講者が、自社に持ち帰り参考にしたことだろう。