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【特別寄稿】トラックが足りない!!

2013年12月19日(木)

2013年12月、街はクリスマスイルミネーションに彩られ、サラリーマンのメッカ新橋では早めの忘年会で陽気にはしゃぐおじさん達の姿が・・・・・などと浮かれていられないのが今の運送業界だ。「物流バブル」などと称する人が現れるほど、物流量が飛躍的に増加している。
本来なら嬉しいニュースだ。ところが・・・

トラックが足りないのだ。

日本貨物運送協同組合連合会(以下、日貨協連)が運営する求貨求車システム「WebKIT」では11月には求車情報が初の9万件を突破し、12月は10万件を超えることは確実と業界新聞に報道された。
また物流ネットワーク「トラボックス」においても荷物情報が初めて7000件を突破した。
facebookの中でも「荷物情報です」「至急、求車情報」「助けてください」などの求車情報が毎日アップされ後を絶たない。

これまで物流量の減少、運賃の低価格化など、売り手市場だった運送業界が一転して買い手市場になっている。現に運賃も信じられないほど高騰しているのだという。まさに「バブル」と称しても過言ではないだろう。

ではいつから、どうしてこのような状況になったのだろう?荷主の業界問わずトラックが足りないのだろうか?
facebookで質問を投げかけてみたところ、彦根相互トラック株式会社の伊藤貴彦氏から「アベノミクス効果や、東北向けの建材の増加、逆にこれまでの不況に伴う減車、倒産など複雑な要因が重なってのトラック不足であると思います。」との回答を得た。
また同氏は「全体的にトラック不足はありますが、季節的輸送物の増加はあると思います。この時期なら、暖房器具、衣類、融雪材、タイヤ、カレンダー等の印刷物の増加。また、トラック不足の焦りによる荷主の無意味な輸送注文の増加、倉移し。後者は完全にバブルの賜物です。後で、「慌てて運ばなくてもよかったな」となるパターンです。とくに車種限定する荷物は輸送困難です。(例、手積み、複雑なもの、エアサス指定、緩衝材がたくさん必要、待ち時間が長いなど)とも言う。

では、さてこの物流バブルはいつまで続くのだろうか?
同氏の投稿に以下のような質問があり、それに答える運送事業経営者の声があった。

この物流バブルはいつまで続くのか予想してみてください。
(1)年明けに収束する。
(2)年度替わり、消費税増税後の4月以降に収束する。
(3)中長期的に求車状態が続き、業界の再編にまで発展する。
(4)国交省が新たな施策を打ち出し、業界が負担を強いられる。

希望も含めて(2)(3)と答える事業者が多く、楽観視していないのが分かる。
中には「(3)だと思いたいです。じゃないと来年はさらに苦しいです。つか、会社が持ちません。」という声や、「希望的観測では?ですが現実は厳しく?ではないかと考えています。そして、年明けから運輸局の処分基準が厳しくなり、事業許可を連発しすぎた運輸局が業者潰しを開始するので、業者数は減少し、需給関係が変化。そして運賃が恒常的に上昇(というか、元に戻りつつある)そう予測しています。」という声も上がっていた。

ただし、「バブル」に浮かれてもいられないのが今の運送業である。トラックが足りなくなると、自然に運賃が高騰してくる。これは当たり前の現象で嬉しいことだ。ならば足りないなら買えばいいと思われるかもしれないが大型トラックの納期が3〜6ヶ月待ち、大型ダンプに至っては1年以上待ちという状況なのだ。
さらにトラックが納車されたとしてもドライバーがいない。求人しても応募がない。さらに燃料高騰、労働時間の監査強化などで目の前にある美味そうなエサにも食いつけない状況は変わらないのだ。

この特別寄稿の最後に紹介したいコメントがある。facebokでの事業者の声だ。
「企業は今まで物流コスト削減を目標に掲げてきました。物流コスト削減で、上から物をいっていたところは今倍返し喰らってます。」というものと「日頃からお世話になっている荷主にだけは迷惑かけたくないですね」という投稿だ。
荷主と運送業者の関係を如実に表していると編集部は思う。ここに運送業界の明日を見た気がする。