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このページは2008年5月に取材したときのものをそのまま掲載しています。

2008年5月13日(火)、ガソリン税収を今後10年間、道路特定財源に充てる改正道路整備費財源特例法が衆院本会議で、与党の3分の2以上の賛成で再可決、成立した。
今回の大騒動、軽油が安くなったり高くなったり・・・。トラック運送事業者にとっても多大なる影響を及ぼした。

しかし、テレビや新聞では「暫定税率の期限切れでガソリンが安くなります。」「暫定税率の復活でガソリンが高くなります。」しか言わない。

なぜ、このような事態に陥ったのか?そもそも道路特定財源とは何なのか?そしてトラック運送事業者にどのような影響があったのか?できるだけ簡単にお伝えしよう。

【1】道路特定財源とは
新しい道路を作ったり、整備するのにお金がかかる。これまでの税金ではとても足りないということから道路を作ったり整備するためだけに使える税金を作った。これが道路特定財源だ。
それでも足りなくなったので、1976年に道路特定財源の中の自動車・トラックに関わる税金を期限付きで引き上げた。これを暫定税率といい、1993年にさらに税率を引き上げて延長され、その後1998年、2003年と延長されてきた。

以下がその税金とどこに収納されるかだ。


<国に収納されるもの>
「揮発油税」 「石油ガス税」 「自動車重量税」

<地方(各都道府県)に収納されるもの>
「地方道路譲与税」 「石油ガス譲与税」 「自動車重量譲与税」 「軽油引取税」 「自動車取得税」

このうちトラック運送事業に大きく関わるのが「軽油引取税」だ。現在、暫定税率として30%引き上げられており、 2018年3月31日まで軽油1リットルあたり32.1円の軽油引取税が課せられている。
【2】これまでの経緯
暫定税率が始まった1976年(昭和51年)に、当然ながら運送業界は引き上げに猛反対。
     
対応策として、軽油引取税の中から国が定めた計算式(※1)に基づいて計算された金額を各都道府県から各都道府県トラック協会に交付金として支払われることとなった。
それが運輸事業振興助成交付金(※2)だ。

(※1)税収入見込みや営業用トラック登録台数等を考慮して
(※2)運輸事業振興助成交付金の使用目的は以下の4点
 ・トラックステーションの整備トラック運送事業の近代化
 ・合理化等のための低利融資事業
 ・輸送情報ネットワークの確立のための事業
 ・交通安全対策,環境対策等の事業

なお、今回の暫定税率の期限切れにおいて、全日本トラック協会をはじめとする業界団体では道路のために払っているクルマの税金を「道路を作るためだけに使う特定税金」から「何にでも使える一般財源」にすることに反対。さらに道路整備以外に使うのであれば暫定税率以前の税率に戻すべきと主張している。


【3】トラック運送事業者への影響

第1に軽油価格だ。調べによると関東での店頭平均が138.2円。これには15円の税金暫定税率アップ分の17.1円106.1円の軽油に32.1円の税金がかかっていることになる。
仮に暫定税率が本来の税率になれば、106.1円+15円=121.1円になる。世界的に原油が高くなっていることを背景に3年前のレギュラーガソリン並みの価格である。

あってはならないが、燃料費節約のため高速道路を使わなくなる。ここに矛盾が生じる。
使わない道路を整備するために運送事業者は税金を課せられることになる。さらに当然ドライバーは納期厳守のため時間をかけて一般道を使うようになる。違法と分かりながら長時間乗務が横行し、睡眠不足など疲労蓄積を原因とする事故が多発する恐れがある。

次に前述の助成金も問題だ。国土交通省に問合せてみると、暫定税率と運輸事業振興助成交付金は関係がないという。しかし、この交付金は各都道府県に入る軽油引取税から交付されるもの。4月に暫定税率の期限切れで交付金そのものも一時凍結となった。5月になり暫定税率が復活したが「交付金については国土交通省と総務省の協議に上決定しますが遅れています。いつ結論がでるかわかりません」と国土交通省はいう。
依然トラック協会には交付金についての通達は無く(5月14日現在)、各種助成金については一時凍結とするトラック協会も少なくない。これにより、安全機器購入の助成金が出るのか出ないのかがはっきりせず、導入を躊躇する事業者も増えているという。